2017-10

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やっぱりタイトルは未定。

 どうも。了です。
 macoに私ゃどこぞの憎悪レハトか、と言いたくなるような近況紹介をされてましたが村は滅ぼし損ねたので何も心配はいりません。そういや過去雑記見るにoumiさんも経験者でしたね。人狼。
 とりあえずブツは、タナッセ憎悪Aルート・最後の選択肢を間違えたケースでの後日談 という扱いの代物です。ネタバレ全開です。救いはありません。
 もともと二次キットで作るつもりだったのが、パソコンのリカバリでデータが吹っ飛んで作り直す気力がなくなったとかなんとか。気が向いたら、最後に選択肢をつけてマルチエンドのキット作品に仕立て直すかもしれません。
   
もう一人の継承者が突然姿を眩ましたのは、篭りに突入する直前だった。
姿が見あたらない、という知らせが午後になって届いて、どこかで抜け出して遊
んでいるのだろうと笑っていたヴァイルも、夜中になると流石に憔悴しきった表
情を隠さない。
「まさか、城を抜け出されて…」
「明日の選定の儀が、重荷になったのでしょうか」
「この城にもすっかり馴染まれたと思っていたのですがねぇ」
漏れ聞こえるそんな声を聞きながら、ヴァイルは寝台の中でふるふると頭を振っ
た。
違う。違う。レハトはそんなことをしない。だって、二回も約束してくれた。こ
こにいるって。
レハトが約束を破って、出ていくわけがない。あの人みたいに。
でも、あの人も結局、約束を…。
いたたまれずヴァイルは立ち上がった。
「俺が探しに行く。上着持ってきて」
「いけません。大事な時期なのですから、きちんとお休みにならなくては」
止める侍従の手をすり抜け、ドアをくぐり抜けようとしたとき。
「うわっ!?」
鈍い感触がして、突き当たった相手は大きくよろけた。そのまま二、三歩下がっ
てヴァイルを軽く睨む。
「寝間着のままで何をうろうろしているのだお前は」
「あ…タナッセ?」
扉の外にいたのは、巨漢の護衛を連れた従兄だった。

「やっぱり見つからない?」
「ああ。全力を挙げて探させてはいるのだがな」
憔悴の色の濃く浮き出たヴァイルの顔に、タナッセの胸がちくりと痛む。
「こんなことをお前に言うのはなんなのだが…諦めたほうがいい、と私は思うぞ」
「なんでよ」
「お前は愚かにも随分と奴にほだされていたようだがな。あれは侍女やら文官や
らにも粉をかけていたような多情な…」
その瞬間、ヴァイルはきっ、と顔を上げた。その射抜くような視線に、新入りの
侍従など思わず数歩下がったくらいである。
「あんたにレハトの何が分かるのさ」
「ヴァイル」
「どうせあんた、篭りが終わる前にはここを出てっちゃうんだろ。じゃ、部外者
じゃんか。勝手なこと言うなよ。
少なくともレハトは約束してくれた。あんたと違ってね。
だから俺を置いていくわけがないんだ。きっと何かあっただけなんだ。だから…

語尾は段々かすれて消え、タナッセに向けてというより自分に言い聞かせるよう
な呟きになっている。充血した赤い目に滲んだ涙の跡が見えた。
危険だ。
本能的に、そう思った。
消えかけた蝋燭の炎を闇に透かして見るような不吉な思いが吹き上がり、タナッ
セの胸の中で警鐘を鳴らしている。
このまま放置しておけば大変なことになる。きっと従弟は闇に飲まれてしまう。
そんな確信があった。
とっさに出た言葉は、自分でも思ってもみなかったものだった。
「ならば、私が約束してやる」
「え?」
「奴が見つかるまで、私がここにいてやろうと言っているのだ」
「ちょっと、どういうことさ、それ…」
無理矢理ヴァイルの手を掴み、手のひらを重ね合わせる。早口に誓いの言葉を唱
え終わるまでには抵抗はなくなっていた。
ヴァイルがぽつりと呟く。
「どういう風の吹き回し?」
「新王にいつまでもそんな顔をされていては母上が迷惑だろうと思ったから、た
だそれだけだ。
嫌なら新王の権限を使ってさっさとあのろくでもない浮気者を引きずり出して来
るんだな。それで私も用済みというものだ」
タナッセに代わりをされてもなぁ、とかそういうことをヴァイルはもぐもぐと呟
いていたが、タナッセが部屋を出ていこうとする時、かすかに「ありがとう」と
聞こえた気がして、タナッセはいたたまれずそっと扉を後ろ手に閉めた。
レハトは帰らない。
帰るわけがない。
タナッセが彼を殺させたのだから。

「はじめから気に食わなかったんだ。あいつは見た目通りの何も知らない子供な
どではなかった」
「文官や侍女にちょっかいをかけていると言うのは聞いていた。それだけならま
だ良いものを」
「王になれそうにないと悟ったころから、奴はヴァイルに近づき始めた」
「約束の意味も分からぬまま、私を奴の遊びに巻き込もうとした、それが許せな
かった」
「後悔などしていない。するわけにはいかない。だが手がこんなに震えて止まら
ないんだ」
「私は臆病者だな、モル。母上のようには一生かかってもなれまい」
沈黙を恐れるかのようにぽつぽつと喋り続けるタナッセの話を、モルはただ黙っ
て聞いていた。
「逃げ出したいと思っていたのに、逃げ道を自分で塞いでしまったな。
それが報いだと言うのなら、もうそこから逃げることなどできないんだ」
空しい捜索が続く中、夜は更けていく。
月はまもなく太陽へと変わる。

いたたまれない一月が過ぎ、篭りが明けて緑の月、新王の継承の儀が慌ただしく
準備されているころ。
タナッセが渡り廊下を歩いていると、向こうから数人の衛士に物々しく固められ
た長い髪の女が歩いてくるのが見えた。
あんなにも厳重な護衛がなされているのは誰だろうと遠くから女の顔を伺い、…
ぎょっとした。
「ヴァイル…?」
新王は優雅に会釈だけしてその場を通り過ぎる。
「だって、レハトが男を選びたそうだったからさ。知らなかった?」
継承の儀を終え、落ち合った時にヴァイルはそう言った。
「いや、聞いていない。というよりお前たち、そこまで…」
少年だったころの面影を残しながら、ヴァイルは驚くほど美しい女になっていた
。優雅な仕草も板についている。その態度と少年のままのぞんざいな口調の落差
が哀しかった。
「レハト、まだ見つからないんだよな。捜索の範囲を広げるように言ったのにな

小首を傾げ、淋しげに微笑んでみせる。
「タナッセもさ、いつまでもこんなとこいたくないだろ?きっとレハト、もうす
ぐ見つかるからちょっとだけ待ってよ」
帰るはずのない相手の名前を呼んでそう言った。
それからしばらく、城中は大騒ぎだったらしい。ヴァイルの成人に備えて女を選
ばされていた貴族の息子たちはハンカチを噛みしめ、若い男たちは色めきたち、
未分化の子供たちはダンスを一から習い直すはめになったという。しかしもちろ
んその中の誰一人としてヴァイルに目をかけられるわけはなく、そんな彼らをタ
ナッセはただ冷めた目で見つめていた。
彼らの目論見は、やがてヴァイルの婚約発表によってあっさりと破られることに
なる。相手が先王の息子であることが告げられると、貴族たちの矛先は一斉にタ
ナッセに向いた。
―やはり五代目は、息子を使って実権を握り続けるつもりだったのだな。
―さすがヨアマキスの息子、抜け駆けとは…
―そういえば知っているか?陛下の成人間際、王配候補と目されていたもう一人
の寵愛者が失踪を遂げている、と。
―まさか、先代の息子が…
そんな無責任な噂の数々をタナッセは受け流して耐えることにした。
一部だけは確かに、本当のことなのだから。
―王がいつまでも王配を置かないというのも権力争いの温床になってよくない。
お前も落ち着いて奴を待てないだろう。
―いっそ形ばかりの王配を置いておく気はないか。私もこの城に留まっているこ
とに、貴族どもに文句をつけられない正当な理由が欲しくなってきた頃だ―
そう持ちかけたのはタナッセのほうである。

ある時は愛情をこめて。
―レハト、どこでどうしてるんだろう。
ある時は憎悪をむき出し。
―レハト、黙って消えるならどうして約束なんか。
ある時は諦めに満ちて。
―レハト、もう俺のことなんて忘れたのかもな。
それらの言葉は皆、タナッセの頭上を素通りしていって、最後にはタナッセに詫
びる言葉で締められる。
―引き留めてて、ごめん。
引き留められることを望んだのはタナッセでもあるのに、それが自分の罪のよう
に彼女は言う。彼女は何も罪を犯していないのに。
せめて同じだけ傷つこうとしているのに、ヴァイルは彼の分の棘まで手の中に握
り込んでしまうのだ。
だだっ広い寝台の中、ヴァイルはタナッセに背を向けてすやすやと眠っている。
ゆるく波打った髪が、白い夜着から覗く華奢な首筋を隠してシーツに流れている

遠い。
ふと思った。
幼いころは部屋が隣同士で、夜には壁の穴を通じてよくこっそり話をした。
同じ寝台に寝ていながら、あの頃と比べものにならない距離が二人の間に横たわ
っている気がする。
邪魔になる髪をどけようと手を伸ばし、何気なくその一房を指に絡めてみる。柔
らかい手触りだった。
何をやっているんだろうと自嘲し、手を離した時にどうやら引っ張ってしまった
らしい。ヴァイルは小さく抗議の声を上げて薄目を開いた。
「なにさ、もう…」
「すまない」
寝返りを打って向き直ったヴァイルはそのまま再び眠りに落ちるかと思いきや、
再び目を開いてタナッセを見つめた。
「なんだ」
「無理、しなくていいんだよ。俺たちには、子供がいるとか、そういうことも、
ないんだから…」
何のことを言っているのかはすぐ分かった。王配の座を捨てて出ていった父の顔
がよぎり、タナッセは唇を噛む。
だがそれは寝言のようなものだったらしい。気づけばヴァイルは再び寝息を立て
はじめていた。
自分のした約束など信用されない。
自分ではレハトの穴を埋めることなどできない。
だが、自分のしたことの結果を見捨てて逃げることなどできはしない。
袋小路なのだ。分かってしまった。いや、分かっていたのかもしれない。
眠るヴァイルの表情は、淋しげではあるがあくまで安らかだった。その唇が薄く
開いて、夢うつつに憎い子供の名を呼ぶのをタナッセは聞いた。
 
〈FIN〉
 
 
 
きっとヴァイルは薄々分かってるんだと思います。
そういや殺さなかった場合(憎悪A)、タナッセはどうやってヴァイルを納得させたんだろう。気になる。
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